ペットクリニックの空間設計を考える
近年のペットブームにより、年間の開業数が増え続けている動物病院ですが、他院との差別化を図るためにはより良いサービスと、空間をデザインする専門の知識が必要です。
ペットクリニックに求められる機能面
近隣住民への配慮
防音性
外来で診察に通うペットも、入院してクリニックで過ごすペットもいるでしょう。その際にペットたちの鳴き声が近隣の迷惑になるようではいけませんよね。
普段の環境とは違うことを敏感に察知して、不安になった動物たちが鳴き声を上げることは止められませんから、防音対策はしっかりしましょう。
これは近隣の為でもありますが、同時に外の音をシャットダウンして、中にいる動物を不安にさせないためにも重要な問題です。
ニオイへの対策
病院に来ると緊張して、粗相をしてしまうペットたちもいるでしょう。
入口から室内までの床や壁材は、拭き掃除が楽にできる素材を使います。消臭と抗菌作用のあるクロス材でニオイを染み込ませず、清潔さを保つとともに「ここはトイレじゃない」ということを動物たちも理解できるようになります。
動物たちへの配慮
床材
ペットにとって良くない床材があります。ツルツルと滑る硬い床です。足が脱臼したり、爪を痛めたりしないような、適度に硬く適度に柔らかい床材がおススメです。
ペット用の床材として開発されたものがあり、足腰に優しいだけでなく汚れが付きにくい素材のため、液体汚れやアンモニアにも強く作られています。
手洗い場
トイレの手洗い場だけでなく、待合室の中にぜひ設置したいのが手洗い場です。ペットを落ち着かせるために水を飲ませたり、おやつを上げたりした際に、「ちょっと手を洗いたい」ことも良くありますね。この空間は大変重宝します。
ペットクリニックのデザイン性
飼い主さんがリラックスできるように
動物病院内では飼い主さんが緊張してしまうと、動物たちも緊張して動き回ってしまったり、鳴き声を上げてしまったりすることもあるでしょう。待合室や処置室、薬局などの飼い主さんが立ち入るクライアントスペースには、落ち着けるソファや、間接照明、天井を高く見せる工夫なども必要になります。
ペットフードやペット用品の販売スペース
ペットが病気でなくても飼い主さんが訪れたくなるようなペットクリニックであれば、「来るたびに緊張する」ということも減るでしょう。飼い主さんが日頃から気軽に立ち寄れるような販売スペースを併設しておくのも効果的です。
アロマや音楽を導入する際には細心の注意を
飼い主さんをリラックスさせるためにアロマディフーザーや音楽を取り入れる際には、注意を払う必要があります。
動物たちは元々人間より嗅覚や聴覚に優れています。病気やケガで通院してくる動物たちの中には、嗅覚や聴覚の神経が過敏になっている場合もあります。