法人オフィスを構えている方に役立つ知識「オフィスの生産性」について
オフィスの生産性を向上させるためには何をすべきでしょうか。
企業では評価指標を元に経営戦略を施策しマーケティングを行うことで、生産性の向上を図ります。製造業であれば、原価や利益率、稼働率などから算出する数字が評価の指標となりますし、販売業では新規顧客の獲得数や売上実績で具体的な数字を指標とすることが可能です。
では、オフィスワークの生産性を評価するためには、一体何を指標とすれば良いでしょうか。
オフィスの知的生産性とは?
工場の製造が物的生産であることに対し、情報社会である現代のオフィスワークは、知的生産であると言えます。そもそも知的生産とは何でしょう。
オフィスワークにおいて人の頭脳によって生まれる成果が「知的生産」です。具体的には「情報を的確に捉え、分かりやすい情報へ変換し、周りに発信すること」であり、例を挙げるなら「顧客ニーズを分析し、企画を発案し、プレゼンテーションを行う」ことが知的生産と言えます。
しかしながら、この知的生産は具体的な数字となりません。企業は何を指標に、知的生産性を評価すれば良いでしょうか。
オフィスの生産性に影響すること
知的生産が人の頭脳によって生まれる成果であると説明しました。仮に優秀な人材がいたとしても、そのワーカーの能力を活かすことができなければ、生産性の向上には繋がりません。
例えば、オフィスのネットワーク環境が整っていなければ、情報を集めたり共有したりすることもできませんし、企画を立てるチームスタイルがなければ、新しい情報も生まれません。オフィス内にリフレッシュできるスペースがなければ、ワーカーのモチベーションにも影響してきます。この様に知的生産性には、オフィスの環境が大きく関わっているのです。
そして、これらのオフィス環境こそが、知的生産性の評価指標となります。
評価指数となるオフィス環境
オフィスの知的生産性に影響を及ぼす環境は、大きく4つに分けられます。
<IT環境>
現代のオフィスではパソコンワークが主流となり、それに伴いIT環境の重要性が高くなっていうことは言うまでもありません。ネットワークで社会と繋がり情報を収集したり、社内ではイントラネットで情報を共有したりと、オフィスワークにとって最も投資しなければならない部門です。
IT環境では、PCの性能や装備率をはじめ、セキュリティ問題やコンピューターウィルス対策、サーバーの保管業務などが評価指標となります。
<ワーカー>
オフィスワーカーの評価指標となる点は、スキルアップや人材の能力、モチベーションなどが挙げられます。
<ワークスタイル>
ワークスタイルとは、企業の形態や業務体系です。現在のワークスタイルは、センターオフィス、分散型オフィス、サテライトオフィス、ドロップインオフィス、モバイルオフィスなど多様化され、それぞれのスタイルによって評価指標が変わってきます。また、オフィス内の組織編成や社員教育の方法も生産性に関わってきます。
<オフィス内環境>
オフィス空間は「快適性・満足度の向上」「安全性・健康性確保」の環境整備と「知識創造活性の工夫」が重要です。環境整備に求められることは、ワークスタイルに適した照明や快適な空調、ワーカーが休憩できるリフレッシュスペース、ストレスのない完全分煙、観葉植物やインテリアなど、視覚的な快適さも必要です。
オフィスのレイアウトは知識創造活性に影響します。オフィス全体の広さや、通路の確保は当然ながら、ワークスタイルによって、コミュニケーション性を必要とするレイアウトにしたり、集中力を重視したデスクレイアウトにしたりと工夫が必要です。
デスクレイアウトの例を見てみましょう。
対向式レイアウト:最も一般的なレイアウトで、対面にデスクを配置します。グループワークに適し、ワーカー同士のコミュニケーションが取れやすいことと、チーム管理がしやすい利点があります。
背面式レイアウト:ワーカー同士が背を向けてデスクを配置し、パーテーションで遮ることもあり、プライバシーの確保と集中力がアップします。
フリーアドレス式レイアウト:幅の広いオフィステーブルを設置し、ワーカーの席を固定しないスタイルです。会議室などに多いレイアウトです。
オフィス家具においても、仕事の効率化に繋がります。デスク:業務内容に適しているデザインや大きさが求められます。現代のオフィスワークではパソコンが必需品であることから、大きさだけではなく配線処理も考慮する必要があります。
椅子:オフィスワークでストレスを感じさせない機能性のある椅子や、休憩室ではリラックスできる椅子、応接室の椅子はデザイン性を重視するなど、用途に合った選び方が大切です。
働きやすいオフィスが生産性を向上させる
いちばん重要なことは、ワーカーにとって「働きやすいオフィス」です。快適で効率のよいオフィス空間は、ワーカーのモチベーションがアップし、オフィスの生産性を向上させる結果となります。
オフィス環境は知的生産性の評価指標であり、環境を整えることをファシリティコストとして投資するべきです。
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