頭を使うと甘いものを求めてしまう心理と脳の働き
仕事で疲れたときや、会議で煮詰まった時などに甘いものが食べたくなることはありませんか?
女性に限らず、休憩時間にチョコレートを食べたりビスケットを食べたりする方は多いでしょう。
昔から「甘いものが食べたくなったら脳が疲れている」という事を言いますが、本当でしょうか?
甘いものが食べたくなる仕組み
色々な栄養素の中で、速やかにエネルギーに変わる物質は糖分です。糖分が分解されブドウ糖になると、効率よくエネルギーが作り出せます。
ブドウ糖は大事なエネルギー源ですから、血液中のブドウ糖が少なくなる(=血糖値が下がる)と、脳が「ブドウ糖を補給してください」と指令を下します。
この指令を受けた脳の別の器官が、手っ取り早くブドウ糖になる食べ物=「甘いものを食べたい」と思うわけです。
甘いものは脳の活性化に良いの?
では人が「甘いものを食べたい」と思う時はいつでも低血糖で、血糖値を高めなければいけない時なのかというと、そうでもありません。
実は血液中の糖質を先に使ってエネルギーを作り、血中の血糖が足りなくなると、肝臓に貯蔵してあるグリコーゲンという物質を分解してエネルギーを作る、というのが一連の流れなのです。
血液の中の糖分が減ると、グリコーゲンを分解する前に脳が「危機感」という錯覚を起こして「糖分を補給せよ」と思ってしまうのです。
血糖値の仕組み
「脳の錯覚であっても、肝臓に蓄えておいて必要な時には分解されるんだから、食べたいときに食べればいいじゃない?」と思われるかもしれません。
しかしそれでは膵臓が黙っていません。
膵臓は血中の糖濃度(=血糖値)が上がりすぎないように、いつでもコントロールしています。
急激に血糖値が上がると、インスリンというホルモンを大量に分泌して、血糖値を下げようとするのです。
結果的に血糖値は急上昇からの急降下で、疲れを取ろうとして食べた甘いものによって、逆効果が生まれるという皮肉なことが起こります。
因みに以下の症状が特徴的です。
・だるさ
・無気力感
・眠気
ランチにたっぷりとデザートまで食べた後、「眠気に襲われた」という経験はありませんか?
甘いものの依存性
「ダイエット中だから」「健康に悪いから」「肌に良くないから」など頭でわかっていても、それでもやはり欲しくなるのが甘い物です。
これは意志が弱いからという事ではないのです。
甘い物を食べると脳内の「セロトニン」という幸福感や気持ちを落ち着かせる働きのある物質が発生します。
脳がこの幸福感を覚えていて、その快感を欲しているのです。実際に甘い物で疲労回復をしているわけではないにもかかわらず、セロトニンによって幸福感がもたらされたことで満足感を味わっていたのですね。
最悪の場合、繰り返すうちに「砂糖依存症」に陥ります。
疲れを癒す甘いものの摂り方
では甘いものを食べるのは悪なのか?というと決してそういう訳でもありません。
「何を」「どのくらい」「どうやって」食べるかさえ分かれば、糖分は脳のエネルギー源=味方なのです。
GI値の低いものを選ぶ
GI値(グリセミック・インデックス)とは血糖値の上がりやすさの指標です。数値が低いほど血糖値が上がりにくい食品ということになります。
チョコレートでもカカオが70%以上のものはGI値が低く、ポリフェノールの含有量も多いのでお勧めです。
量をしっかり決めて食べる
例えば大豆のシリアルバーなら1個、リンゴなら半分などと決めて、その分量は守りましょう。
甘いものはゆっくり食べる
飴やチョコレートなどをゆっくり食べると、糖分もゆっくり吸収されます。吸収がゆっくりになれば、血糖値が急激に上がることもありません。
甘いものを食べたいという気持ちは変えられなくても、摂り方をちょっと変えるだけで、身体に良い満足感やリラックスを得られるようになりますよ。