オフィス移転~移転元の原状回復~
オフィスを移転する時には、新しいオフィスのコンセプトやデザインなど色々考えますよね。大変ですがワクワクするような作業です。
それとは別に、移転元となるオフィスの原状回復についても考えなければいけません。
賃貸住宅の引越しよりも遥かに大変な作業になることが多いですから、移転をしよう決めたときに「移転先」と「移転元」は同時にプランを進めましょう。
原状回復とは?
一言でいうと「借りたときの状態に戻す」ということです。
賃貸物件をオフィスとして契約、入居する際には、数々の内装工事を行ったかと思います。
例えば間仕切りを置いたり、ドアを新しく付けたり、エントランスの造作工事を施したり、というこれら全てを元の状態に戻す必要があります。
基本的にはテナントが100%負担して回復工事を行うものですが、物件や賃貸契約によって違いがあることもありますので契約書をよく読んで把握しておいてください。
原状回復にかかる日数は?
賃貸オフィス、賃貸店舗物件の解約は、解約日までに原状回復工事も終わらせておかなければなりません。
これは賃貸住宅との大きな違いですね。引っ越ししたら解約できるわけではないのです。
引っ越して、原状回復工事を終了して、契約解除・明け渡し、となります。
「原状回復工事にどれくらいの日数が必要になるのか」というのが大きなポイントになってきますね。
目安としては、100坪程度のオフィスを原状回復する場合に、1ヶ月ほど必要と考えましょう。
あくまでも目安ですので、広さや内装の作り込み、配線や配管などによって日数は前後します。
いずれにしても同程度のサイズのオフィスに入居する時より、退去する時の方が時間がかかると考えておいて間違いはなさそうです。
新オフィスへの引越は、遅くても移転元賃貸契約解約日の1か月前には移転が済んでいるようなスケジュールを組みましょう。
原状回復にかかるコストは?
原状回復にかかる費用も、日数と同様にサイズや造作内容によって異なりますが、概ね小規模オフィスの場合には3万~5万/坪、100坪以上のオフィスの場合には5万~10万/坪というのを1つの目安にしてください。
これから不要になる物へかける費用なので、出来るだけ安く済ませるためにあちこちの業者から合い見積もりを取って、としたいところですが、基本的に原状回復工事は「ビルの管理会社が指定する業者が」行います。
そのビルに関して一番詳しい業者、と言い換えることができますね。
その指定の業者さんから見積もりを貰うことになりますが、不明点や疑問点はきちんと相談しておくことが望ましいでしょう。
例えば見積り内に
■床・壁 一式
■照明 一式
などと書かれている場合には「一式の内容」を問い合わせてみるのも良いでしょう。
1つ事例を上げましょう
■入居時:スケルトン
■原状回復:スケルトン返し
「入居時に元からあったドアとガラス戸を全部新しくしたが、退去時の原状回復工事を見込んで、外したドアとガラス戸は床下に保管しておいた。これに付け替える作業のはずが、見積りに新しいドアとガラス戸の費用が乗っていた」
業者さんは床下を開けて見るまで、そこにドアが保管されているかどうか分かりませんから見積りに乗っていたのでしょう。
見積書の細かな部分を見落とさないように気を付けましょうね。
居抜き物件の造作譲渡とは?
飲食店や美容室などの物件情報でよく見かけますね。
「居抜き」とは前に入っていたテナントが、内装や什器等を残して退去したため、次に入るテナントが引き続き使用できる状態の物件のことです。
スケルトン状態から設備、内装、什器を導入するよりも、コスト面でも工事日数の面でも負担が軽くて済みます。
「造作譲渡」とは、居抜きの物件に含まれている設備や内装、什器類をどのような条件で譲り受けるのか?ということです。
有料の場合も、無料の場合もあるでしょう。
いずれの場合も経年劣化の度合いや、どの程度自分に必要なものかを判断する必要があります。
オフィスの場合も居抜きで入居、退去ができる物件が時々あります。
店舗もオフィスも「居抜きOK」かどうかはビルの管理会社やオーナーの理解がないと実現できません。
最終退去時の原状回復の責任の範囲や、現状設備の劣化や消耗などの責任の範囲など、取り決めごとの内容が細かいことも多く、ビルのオーナー側が「居抜き」を許可しない場合も多くあります。
オフィスを移転する際には、移転元オフィスの解約をすると保証金の返還などもありますが、原状回復費用も必要になりますので、金銭的にも時間的にも余裕を持って計画しましょう。